【お役立ち情報】AI台頭による社労士の今後とは

■業務内容の変化
士業の業務がAIの台頭により減少していくのではないかと言われ始めたのは第3次AIブームと言われる2012年頃からでしょうか。あれから10年、業務内容に劇的な変化は見られません。しかし、野村総合研究所と英オックスフォード大学の共同調査によると、日本については労働人口の約 49%が技術的には人工知能やロボット等により代替できるようになる可能性が高いと推計され、社労士の業務においても79%が自動化されるとしています。政府も各企業における雇用・社会保険関連手続きの電子申請化を推し進めており、社労士の主な業務の一つである手続きや申請、給与計算などの単純業務はすべてマニュアル化できるため、事務手続きに関する業務はやはり今後緩やかに減少していくことは避けられません。

■高まる社労士の需要
単純作業はAIに置き換わっていきますが、コンサルティング業務はより重要視されていくでしょう。顧問契約を通じて労務に関する様々な課題に取り組むことも、専門士業の大切な役割です。働き方改革による法改正に合わせた社内ルールの改定、新たな制度設計や労使紛争への対応に伴うコンサルティング、企業のM&Aに関連する業務、また直近ではコロナウイルス感染症により休業した事業者に対して支払われる「雇用調整助成金」などの複雑な書類の申請などの需要も高まっています。厚生労働省が提供する助成金を代理申請することは、社労士の独占業務です。ルーティン業務と違い、新たに発生した課題への対処はAIにはまだ難しいのです。 人間同士でコミュニケーションを取り、また社労士自身もAIを積極的に活用し、顧客へのアドバイスへと繋げていくことも必要です。

社労士の業務がAIに置き換わることは避けられませんが、労働環境における複雑で多種多様な問題は、データベースの構築、処理だけでは解決が非常に難しいのも事実です。人事労務や経営の課題は時代によって変化し、企業によって解決策も様々です。やはり人間にしかできない業務は新たに発生していきます。社労士として生きていくためには、今後はAIが処理できないような複雑な問題をいかに処理できるかがとても重要になってきます。