40代女性の再就職「年収の壁」越えるメリット

会社員の配偶者がパート勤務などで「年収の壁を越えたくない」と考えることは少なくない。「壁」を越えたらどうなるか理解されていないことが多いと感じる。
例えば専業主婦が年収103万円を超えると所得税がかかるが、この水準で増える年収1万円の税はわずか500円程度だ。
妻の年収が103万円を超えると夫の税負担を軽減する最大38万円の配偶者控除はなくなる。だが妻の年収が150万円までは同額の配偶者特別控除を使えるため、実質何も変わらない。

150万円を超えると配偶者特別控除の額が減り始める。ただし夫の税負担増は失う控除額数万円に税率をかけた額。多くの人は税率5〜20%程度で妻の年収増額分の方が大きい。住宅ローン減税の控除枠を使い切れていない世帯主は配偶者特別控除が減っても税負担は増えない。
一方、従業員101人以上の勤務先で週20時間以上働く妻は年収約106万円(月8万8000円)以上、100人以下なら年収130万円以上で社会保険料負担が生じる。ただ厚生年金などに入る利点は大きく、妻の老後の年金受給だけでも、よほど短命でなければ保険料負担を上回る。
目先の支払い負担に気をとられると人生のセーフティーネット拡充の機会を逃す。一人一人が制度をよく理解すれば政府が適切な支援策を検討しやすい。

●正社員の転職「35歳限界説」消えた
人手不足や女性活躍推進は正社員の女性にも追い風だ。長らく「35歳が転職の限界」とささやかれていたが、40代でも転職者数が増えている。
女性の転職者数は、20代と30代は2013年から22年で4倍近く増えた。しかし40代は段違いで、約12倍にもなった。
13年時点では40代の転職者は少なかったが、近年は構造的な人材不足などを背景に転職市場で存在感が増している。40代の転職先はマーケティングや経営企画、経理・財務、人事など事務系専門職が約4割だ。
女性全体で転職時に賃金が1割以上上がった人の割合も増加。事務系専門職が多いため、専門性を評価され賃金が上がりやすいことが一因のようだ。
転職で柔軟な働き方も実現する可能性がある。女性の転職では子どもの送迎や在宅勤務の希望が前提条件となる例も多い。過去半年から1年以内に転職した人の調査では、給与や勤務地、リモートワークなどを交渉した人は全体の約48%いた。全体の約30%が希望をかなえている。

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